世界の抹茶市場:製品別・地域別・企業別の成長動向2026-2032
抹茶の定義と市場概況
抹茶は、日本に起源を持つ粉末状の緑茶であり、その歴史は日本で覆下栽培が始まった16世紀にまでさかのぼる。室町時代の日本において始められた日陰でのチャノキ栽培(覆下栽培)と、収穫された茶葉を揉まない製法を特徴とする。日陰で栽培することで、抹茶の特徴である鮮やかな緑色が生まれ、うまい味(旨味)のもとである
などのアミノ酸が増えて風味を増す。茶筅という専用の道具で抹茶と湯を撹拌したものを飲むのが典型的な飲み方で、特に茶道(茶の湯)でも飲まれる。
ただし実際には上記の特徴を満たさないものも「抹茶」として売られており、安価であるため飲料や加工食品、料理などで用いられている。
古語においては、碾茶、引茶、行茶、挽茶などの字も見られる
QYResearchが最新発表した「抹茶―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」市場調査報告書によると、世界抹茶市場規模は2024年の約360百万米ドルから2025年には386百万米ドルへ着実に成長し、予測期間中に8%の複合年間成長率(CAGR)で拡大を続け、2031年には612百万米ドルに達する見込みである。
抹茶市場規模(百万米ドル)、2024-2031年
主な推進要因:
1. 健康志向の高まりに伴う機能性食品としての需要拡大:抹茶製品は、豊富な抗酸化物質(カテキン)とリラックス効果をもたらすアミノ酸(テアニン)を含むことから、現代の健康意識の高い消費者に支持されています。この「体に良い」という機能性イメージが、従来の茶道の枠を超え、日常的な健康飲料・食品としての市場基盤を大きく拡大しています。
2. 食品・飲料業界における主力風味原料としての地位確立:抹茶製品は、その独特な風味と鮮やかな緑色から、和菓子に留まらず、アイスクリーム、ラテ、チョコレート、スイーツ、さらにはアルコール飲料に至るまで、幅広い食品・飲料の革新において不可欠な原料となっています。メーカーによる新商品開発が、産業用抹茶の需要を牽引する最大の原動力です。
3. 訪日外国人観光客(インバウンド)による消費と体験需要:抹茶は日本文化の象徴として、インバウンド需要を強く刺激しています。京都の宇治や京都など主要観光地では、抹茶スイーツの飲食体験、茶道体験、抹茶関連土産品の購入が旅行の重要な要素となり、高付加価値製品の直接販売を促進しています。
4. 国内におけるプレミアム・グルメ市場の成熟:消費者は、単なる「抹茶風味」ではなく、産地(宇治、西尾、静岡など)、栽培方法、等級にこだわった本格的な抹茶製品を求める傾向が強まっています。この「本物志向」は、高級茶葉やプレミアムな抹茶加工食品の市場を形成し、単価と利益率の向上に寄与しています。
5. サードウェーブコーヒーに続く「茶」の専門店ブーム:コーヒーに次いで、茶葉の品種、産地、抽出法にこだわる専門店「スペシャルティティー」の市場が成長しています。抹茶製品は、その中でも特に注目を集めるカテゴリーであり、新しい飲用スタイル(クリームラテ、アイス抹茶など)とともに、若年層を中心に消費を拡大させています。
6. デジタルメディアとSNSを通じたビジュアル的な訴求力:抹茶製品の鮮やかな緑色は、InstagramやTikTokなどの視覚系SNSで非常に高い訴求力を持ちます。美しい抹茶スイーツやドリンクの画像・動画は「映える」コンテンツとして拡散され、特に若い世代の消費意欲を駆り立て、新たな市場トレンドを生み出しています。
機会:
1. 機能性成分を活用した次世代健康食品・サプリメント開発:抹茶に豊富に含まれるテアニン、カテキン、食物繊維などの成分に着目し、ストレス緩和、集中力向上、美容、腸内環境改善など、特定の健康ニーズに特化した機能性表示食品やサプリメント市場への本格参入が大きな機会となります。
2. 「うま味」を活かした鹹味(しょっぱい)食品・調味料市場への進出:現在は甘味食品が主流ですが、抹茶が持つ深い「うま味」と香りは、スープ、パスタソース、ドレッシング、ふりかけ、乃至は加工肉製品などの鹹味食品分野での新規用途開拓を可能にし、市場規模を飛躍的に拡大させる可能性を秘めています。
3. 持続可能性(サステナビリティ)と倫理的消費への対応:有機栽培抹茶、環境配慮型包装、フェアトレード認証、カーボンニュートラルな生産工程など、環境・社会に配慮した抹茶製品は、国内外の意識の高い消費者層から支持を得て、新たな付加価値と差別化要因を生み出します。
4. 個人対応型の定期購入サービスと直接取引(DTC)モデルの深化:産地や生産者と消費者を直接結び付けるサブスクリプションサービスや、オンラインDTCブランドを通じて、少量・多品種の高級抹茶やカスタマイズブレンドを提供するモデルが、消費者の探求心を満たし、高い顧客生涯価値を生み出す機会です。
5. 生産工程の技術革新による品質均一化とコスト最適化、石臼に代わる新たな微粉砕技術や、AIを活用した茶葉選別・ブレンド技術の開発は、高品質抹茶の生産効率を向上させ、供給の安定化とコストダウンを実現し、より広い価格帯での市場浸透を可能にする次の飛躍の機会です。
6. バーチャル空間における「デジタル茶道」体験の提供:メタバースやVR技術を活用し、地理的制約なく本格的な茶道の空間や抹茶の産地体験を提供する「デジタル茶道」は、文化継承の新たな形として、また、次世代のグローバル消費者に対する強力なブランディングツールとしての可能性を開きます。
制約する要因:
1. 伝統的な生産方法に起因する高いコスト構造:覆下栽培、手摘み収穫、低温での石臼挽きなど、高品質抹茶の伝統的製造工程は非常に手間と時間がかかり、人件費と生産コストを押し上げます。このことが、最終製品の価格を高止まりさせ、日常的な消費や価格競争力に大きな障壁となっています。
2. 気候変動による品質と収量の不安定化:抹茶の特徴であるうま味と鮮やかな色は、茶樹が生育する気候・環境に大きく依存します。異常気象(霜害、猛暑、豪雨)は、収穫時期や茶葉の成分組成を変動させ、品質の年次間バラつきや収量減を引き起こし、安定供給を困難にしています。
3. 消費者の多様な嗜好変化と代替製品との競合:食品トレンドは常に変化し、抹茶はその人気を持続的に、新しいフレーバー(ヨモギ、紫芋、各種フルーツなど)や、他の健康飲料(コーヒー、スーパーフードジュースなど)と競い合わなければなりません。消費者の関心を維持し続けるための継続的なマーケティング努力が不可欠です。
この記事は、QYResearch が発行したレポート「抹茶―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」
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https://www.qyresearch.co.jp/reports/1613282/matcha-tea
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